40代ド文系底辺エンジニアが基本情報技術者試験に今さら合格した話

タイトルの通り、かろうじて自分との約束を守ることができました。
合格者受験番号は昨年末に発表されていたので合格したことは知っていましたが、年が明けて1月15日に合格証が届き、ようやく実感が湧いてきました(というか安堵できました)。

 

しかし、IT業界の人ならご存知と思いますが、基本情報なんて自分の年齢やキャリアを考えれば、持ってて当たり前の資格です。
というか取るのが遅すぎです。本来なら新卒で入社したエンジニアでも数年以内に取っておくべき初級資格で、早い人なら学生のうちに合格しているような資格です。
今さら取得しても転職の足しにもならないことは理解しています。
自分は30過ぎてからプログラマになったのでただでさえスロースタートなのですが、この資格を取っておかなきゃ、おかなきゃ…と思いつつ10年以上先送りにしていた、喉に引っ掛かった魚の骨のような課題の一つでした。


過去にも何度か受験したことはあったのですが、中途半端な勉強だけで挑戦して午後試験で爆死したり、申込みだけして無勉強だったため、怖くて試験会場にも行くことができなかった回もありました…。

いつになったら自分は基本情報を取るんだ!という心の叫びと焦りから、「2022年中に必ず基本情報を取る」と決意し退路を断つためにTwitterも合格するまで止めることにしたのが昨年冒頭のことです。

そこから約1年。一念発起した自分はコツコツ勉強していたのかというと……そうでもなく……Twitterを止めたら今度ははてブやら嫌儲やらに流れて入り浸るという自堕落な日々。自分の意志の弱さにホトホト呆れ果てながらも机に座ることすらできない自分に自己嫌悪に陥っていました。

立ち直るきっかけになった出来事は正確には覚えていないのですが、確か7月のある日、嫌儲に立てられたとある秀逸で不謹慎なスレタイについゲラゲラ笑ってしまったのですが、そこでハッと目が覚めたのがきっかけと言えばきっかけだったように思います。

何やってんだ俺。最低だ俺って。

無職・フリーターとしてダラダラ・悶々と過ごしていた20代からまるで進歩がない。俺はこのまま何者にもなれず、何もやり遂げられずネットをボーッと眺めながら終わっていく人間なんだろうか…
自分が恥ずかしくなりました。そして今年も自分との約束を守ることができないまま終わっていくのだろうか。

そこで奮起してバリバリ勉強に打ち込み…というわけでもなく(本当に情けない奴)
でも意識だけは前に進もうと、まずは嫌がる自分を「無理やり机に座らせる」ことから始めることにしました。
自分はとにかく集中力が散漫で、15分机に座っていると飽きてきてしまうし本もしばらく読んでいると睡魔に襲われて寝落ちしてしまう性格(察してください)で、過去の試験でもこのようにして失敗している、昔からとにかく勉強が苦手な人間でした。

「形から入る」といえば聞こえはいいですが、そのまま寝落ちしてもいいからとにかく自分を「勉強モード」に追い込む作戦でした。
しかし、とにかく嫌でも「机に座って本を読むフリをする」ように自分を縛り付けるようにしていると、(最初は本当に1ページもテキストを進めることができずに数時間机に突っ伏して居眠りして終わった日もあったのですが)徐々に「勉強をしている自分」に慣れてきたのか、勉強に身が入るようになってきました。次第に眠らずに1日8時間以上勉強することもできるようになっていきました。

 

そこからの約3ヶ月間は本当にみっちり勉強しました。こんなに勉強したのは大学受験以来だと思います。(まあ親に言わせると自分は大学受験もろくに勉強して無かったらしいのですが…)
自分はとにかく数学が苦手のド文系で(なんでプログラマなんかやっているの…)、最初はやはり数学やアルゴリズム分野の問題でつまづいてしまいました。
基本情報技術者試験で出題される数学の範囲は中学レベルの簡単な計算問題から確率や統計など高校レベルのやや難しい問題まであるのですが、ハッキリ言って数学とアルゴリズムを避けて合格することは困難です。そのくらい近年は数学とアルゴリズム問題のウェイトが上がっており、試験を開催しているIPAも数理・論理的思考力を重視しているのが分かります。

というわけで途中から試験勉強は「数学とアルゴリズムから逃げるな」をスローガンに学習を進めることにしました。最初は全然分からなくて全く歯が立たず、ある程度テキストを読んで公式や解き方などを覚えても、これでどうだ!と自信満々で答え合わせをしてみたら間違えていたり…心が折れそうでした。それでも「今は間違ってもいいから、本試験じゃないから…」と自分に言い聞かせて問題集をひたすら解き続けていました。

すると試験日も迫った追い込みの時期、過去問を解いてみたらいつのまにか計算問題にほぼ全問正解しているようになっていました。なぜか。どうやら実はしっかり理解していなかった公式や解法は繰り返し問題を解くことで「解像度」が上がっていたようで、
そして数学や論理の問題は解き方さえしっかり覚えればある程度未知の問題にも応用が効くことが分かったのです。逆に知識として知らないと勘頼みになるマネジメントやストラテジ系の問題の方がある意味厄介だということにも気づきました。苦手だった数学問題がいつの間にか得点源にすらなっていたことに気がついた時は嬉しかったです。しかしアルゴリズム問題の方は何回解いても苦手意識は変わらず…結局単体でかろうじて合格ラインの6割を超えるのが関の山でした。

 

最終的に試験勉強はテキスト・参考書4冊、問題集3冊をこなしました。勉強時間は平均して平日は3時間程度、休日は8時間程度でした。頭のいい人、要領のいい人ならもっと効率的で少ない勉強量で合格できると思います。オススメのテキストと言えるかどうか分かりませんが自分は『キタミ式イラストIT塾 基本情報技術者』が取っ掛かりとしては良かったです。完全な初心者から基本情報の勉強を始めるならなおさらですが、豊富なイラストややさしい説明が嬉しかったです。ただし、このテキストだけをこなしていただけでは合格することは難しいでしょう。キタミ式が終わったらより詳しい内容のテキストをもう1冊やるか、問題集をどんどんこなして本試験の問題になれることが必要です(特に午後)。

キタミ式イラストIT塾 基本情報技術者 令和05年:書籍案内|技術評論社
https://gihyo.jp/book/2022/978-4-297-13186-9
あくまでも凡夫の体験談として参考にして下さい。

 

そして11月に迎えた本試験、結果は午前90点、午後76点でした。目標は午前9割、午後8割だったのでちょっと惜しい結果でしたが、箸にも棒にもかからなかった午後を突破できたことで喜びと自己効力感で一杯でした。

なお、合格が分かった時はそれなりにウッキウキだったのですが、今期の情報処理技術者試験で非エンジニアや中学生ながら基本情報よりはるかに難しい高度試験に合格した人の話題をネットで見かけてしまい、一瞬でその浮かれ気分は吹き飛び、今はヒエッヒエ状態です。
まあ、そうだよね…上には上がいる。でもそんな凄い人たちと自分を比べても気分が落ち込むだけでキリがない。自分と向き合い、自分自身と闘い、過去の自分を乗り越えることができればそれでいいと言い聞かせてます。
こんな自分でも、少しずつなら変わっていけることが分かったので。

 

まだこれで終わりじゃないと考えていますし、レベル4高度試験に受かることが最終目標です。そのためにまず、今年は基本情報より1ランク上の応用情報技術者試験に挑戦し、合格することを目指します。
今年も自分との約束を守る。克己して頑張りたいと思います。